雑談(2017.8.16)

1944年3月「ウ号作戦」について

地理的条件と補給線を全く考慮しないまま行軍を強い、
数多くの犠牲者を出した悲劇。


「ウ号作戦」=太平洋戦争時における、日本陸軍史上最低最悪の無謀作戦
「インパール作戦」のことですね。
きのう、NHKスペシャルで「インパール作戦」のドキュメンタリーをやっていて
筆者も見ていたわけですが、まあ、最近のNHKにしては珍しく出色の出来栄えの
ドキュメンタリーに仕上がっていて最後まで食い入るように視聴してしまいました。


筆者は「太平洋戦争」に関心があって、それにまつわる著作物や資料をいくつか
読んではいたので、インパール作戦についても多少の知識はあったのですが、
改めて映像で見てみると、新たに知り得るところも少なくありませんでした。


番組中の重要なポイントはたくさんあるのですが、その中から一つを上げれば、
インパール作戦のみならず、アッツ島やキスカ島、硫黄島、沖縄、樺太など
悲惨な戦場においては「将校や下士官といった戦争指導者連中は、決して命を
落とさなかった」ということなんです。

実際に命を落とすのは、戦場に赴くことを強いられた下級兵や、無辜の一般市民
なんですよ。これが戦争の本質です。


インパール作戦を立案したのは、第15方面軍司令官、牟田口廉也(中将)という
人物ですが、その上の組織に当たる南方軍の総司令官、寺内寿一がこの作戦を
黙認し、
(注:筆者が歴史上の人物で一番嫌いな者が、寺内 寿一である。)
さらにその上の大本営参謀本部の連中が、この作戦にゴーサインを出すというね。
しかも、南方軍の総司令官に着任した寺内 寿一にとって、最初の作戦となるから
その実績を優先させようという、どうしようもなくアホな理由で、無謀な作戦が
実行されてしまいます。
作戦が成功する可能性よりも、人事のメンツを優先させるという愚行。
現代社会におけるあらゆる組織の悪弊にも通じるところがあるんじゃないですか?
筆者はその非合理性が大嫌いで、社会参画から遠退きましたが。


そして当時の軍人の中にも、インパール作戦の非現実性や無謀を説いた理性
溢れる人間がいたようですけど、そういう意見具申をしたら、牟田口中将が
「卑怯者!バカ野郎」とか怒声を発したようで。論理性も客観性もあったもんじゃない。
それはそれは上層部がその程度の頭ならば、戦争終結の落としどころは
誤りますわな。


さらに不愉快なのは、牟田口というバカは、終戦後もインパール作戦の責任を
取らないどころか「部下の遂行能力がなかった」とか「大本営の責任」だとか
自らの罪責を背負わないどころか、
対戦国であるイギリスの元中佐、パーカー氏から「インパール作戦は日本軍の
成功に終わっていた可能性もある」という書簡を受け取ると、
「ホラ見ろ!オレが企画した作戦に誤りはなかったのだ!」と開き直る始末。
どうしようもないアホですよ。コイツA級戦犯で逮捕されて、シンガポールに
移送後、戦勝国側に裁かれていますが、絞首刑にならなかったのが不思議で
ならない。生き恥を晒しまくれということなのか。


太平洋戦争で一番の問題は、当時の戦争指導者に対する責任の所在が未だに
曖昧にされていること。戦後の歴代政府がその事から目を背けて、戦争が起きた
メカニズムを徹底解剖して、後世への教訓にしていないことなんですね。
同じ敗戦国のドイツは、そういう事実に真摯に向き合ってきたんじゃないですかね。
詳しいことは知りませんが。
1985年、当時西独のワイツゼッカー首相の戦後40年演説を聞く限り、過去の清算は
しっかりと果たすという意思が読み取れます。中にはこの演説を「謝罪の言葉がない」
とか評価しない向きもあるようですが。
しかし「ナチスドイツ、ヒットラー」の罪責には触れているし、二度とそのような
異質な独裁を生み出さないという姿勢を示している以上、責任の所在を不明確に
している日本よりは遥かにマシなんじゃないでしょうか。
ついでに「〇〇〇〇」の戦争責任も重大な。日本は言論の自由があってなきような
ものなので、あえて伏字にしておくけど。日本陸軍の暴走を命がけで防がなかった
時点でアウトです。2.26でただ怒りを顕わにしただけじゃダメだよな。
死地に赴かれて無念の死を遂げた兵隊さんたちの最後の言葉は、
「天皇陛下万歳」ではなく、「おかあさん」だったことの意味を考えよう。
誰も銃後で、ぬくぬくと生命の危険に晒されていない奴らの為に、
戦ってはいなかったのである。


余談ながら補記しますが、特攻隊。
特攻兵はみんなが勇ましく出陣したわけではありません。
出撃前に嫌がって泣き叫ぶ特攻兵を、無理やりに操縦席へ押し込んで
飛び立たせた元整備兵の記録が残っています。これが現実と思います。


きのう靖国に参拝する国会議員団の姿が放映されていました。
元防衛相の稲田氏も来ていましたね。嘘つきがどの面さげてやってくるんだか。
コイツらの顔つきを見ていると、有事になった際、平気で一般人を死地に
赴かせる表情をしていましたね。ゾロゾロと。気持ちわるかったなあ。
揃いも揃って悪相だよ。人殺しの顔だと断言します。


ちなみに靖国は一般人が参拝するのは全く問題ありません。
しかし、国会議員が参拝するのは閣僚であるなしに拘らずNGですね。
理由は簡単で、A級戦犯が合祀されているからです。
そのA級戦犯の「国内における」戦争責任の所在が明確にされていない以上、
政治家がノコノコと出かけて参拝しては問題だと思います。


(了)