マルハ大洋スポーツ

                       
                       
                       

読書リスト(2018年3月分)

「ブンヤ暮らし三十六年 回想の朝日新聞」
版元:新潮社(新潮文庫)
著:永栄潔
ISBN:978-4-10-121106-0
定価(本体)¥710+税
【コメント】朝日の記者だった永栄氏による、本人の職業回顧録的な読み物。
本の帯に「型破りな新聞記者」と銘打ってあるが、内容を読んでみると決してそんな
事はなく、至って常識的に仕事に厳しく、誠実に当たってこられたことが手に取るように
分かりました。私は新聞記者志望で夢破れましたが、この本を読む限り、記者の仕事は
肉体的にも精神的にもタフでないと務まりませんね。ならなくて正解だと思いました。
これからマスコミ志望の若い人にも手に取ってほしい1冊です。




「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊」
版元:文藝春秋(文春新書)
著:井上智洋
ISBN:978-4-16-661091-4
定価(本体)¥800+税
【コメント】経済学者による人工知能の発達に伴う未来予測的な内容の本。
読んでみた感じは悪くはないが、わざわざ買ってまで読む価値はないと思う。
こういう本が長い期間ベストセラーになってしまう世の中の風潮が理解できない。
さらに著者である井上氏は、ヘリマネ積極推進でバリバリのリフレ派経済学者なん
ですね。その点からも私は相容れない部分がありました。




「昭和戦後史 『再軍備』の軌跡」
版元:中央公論新社(中公文庫)
編:読売新聞戦後史班
ISBN:978-4-12-206110-1
定価(本体)¥1,350+税
【コメント】1980年代初頭に、約1年間にわたり読売新聞紙上にて、日本の再軍備に
まつわる詳しい経緯を、警察予備隊、階上警備隊、保安隊、そして自衛隊と時間軸に
沿って書き記した企画記事を一冊の本にまとめたもの。
久しく絶版だったが、2015年に中公文庫所収となったために入手。
「再軍備」の経緯は、戦後政治史の一側面でもあり、その点を詳しく学びたい方には
有益となり得る書となっている。




「続・明治維新という過ち 列強の侵略を防いだ幕臣たち」
版元:講談社(講談社文庫)
著:原田伊織
ISBN:978-4-06-293862-4
定価(本体)¥650+税
【コメント】興味深く読みましたし勉強にもなりましたが、その他特段書き記すことは
ありません。




「ある町の高い煙突」
版元:文藝春秋(文春文庫)
著:新田次郎
ISBN:978-4-16-791036-5
定価(本体)¥750+税
【コメント】明治から大正にかけて、富国強兵の流れにのって急激に発達した
「日立鉱山(銅鉱)」の煙害問題について、経営者側と煙の被害を受けた地元農民の
間で、互いに誠意も保ちながら忍耐強く交渉に当たり、最終的に当時としては
最大級の150m越えの高い煙突をつくって、山林や田畑を荒らした煙害を見事に
消し去ったという実話に基づいたノンフィクション・ノベル。
注目点は、この時代の会社経営者は(日立鉱山だけだったかも知れないけど)
公害の除去に会社を挙げて誠心誠意、全力で取り組んだことである。
翻って、戦後日本の「四大公害病」を引き起こした企業群の対応はどうだったろうか?
世論の喚起、司法の判定、政府による被害者救済が明らかになるまで、企業側は責任を
頑として認めなかったのではなかったか。そして被害を大きく拡大させた。
現在も、データの改ざんや強度不足の製品が巷に流れるなど、企業の不祥事が後を絶ち
ませんからね、そういう今こそ読まれる本ではないかと思います。




「全電源喪失の記憶 証言・福島第一原発 日本の命運を賭けた5日間」
版元:新潮社(新潮文庫)
編著:共同通信社原発事故取材班・高橋秀樹
ISBN:978-4-10-121216-6
定価(本体)¥710+税
【コメント】只今閲読中で全体の半分ほど読了。
これを読んで思う事は、2号機の原子炉格納容器が爆発に至らなかったのは、いくつもの
偶然と幸運が重なった結果だということですね。現場で終息作業に携わった人々の
格闘は本当に頭が下がる思いだが、事実、2号機の状況は人知の及ぶ範囲を超えていて
相当にやばかったらしい。原子炉建屋の爆発で済んだのは、僥倖以外のなにものでも
ないというのがよく分かりました。
本書の冒頭で編者が指摘している通り、原発事故から7年が経過したが、まだ何一つ
終わってはいないこと、避難を強いられている福島県民が、未だに約5万名もいて
故郷に帰りたくても帰れない人々が大勢いることは、忘れてはならない現実だと
思います。そんな中で「原発事故はアンダーコントロール」とか平然と宣った輩が
いて、2020年は「復興五輪」だと浮かれている連中が少なくないこの国の現況は、
かなり異様だと思うんだけど。少なくとも私は、そういう空気からは「一線を画して」
置きたい。


※今月は以上6点の書籍を読了しました。


(了)