無題(旧:マルハ大洋スポーツ)

                       
                       

読書リスト(2018年4月分)

「深代惇郎エッセイ集」
版元:朝日新聞出版(朝日文庫)
著:深代惇郎
ISBN:978-4-02-261905-1
定価(本体)¥640+税
【コメント】朝日新聞の名記者、「天声人語」で健筆を振るいながら、1975年、
46歳の若さで急逝した深代順郎氏。「天声人語」以外に、朝日新聞国際面や朝日
ジャーナルに寄せた文章をまとめた深代氏のベストエッセイ集。
読んでみた感想は、頭がキレる人の文章とはこういうものを指すのだろうという
印象。私自身が興味のない分野に関する文章でさえ、最後まで読ませる筆力は
並大抵のものではない。深代氏の「天声人語」をまとめた文庫もあるようなので、
近いうちに入手して読んでみたいと思う。




「牛と土 福島、3.11その後。」
版元:集英社(集英社文庫)
著:眞並恭介
ISBN:978-4-08-745707-0
定価(本体)¥640+税
【コメント】福島第一原発事故の放射能汚染で帰還困難区域に指定された場所に生きる
動物たちの動向は、マスメディアで伝えられることが多くなく、その辺を知るにあたっては格好の書籍である。最近のノンフィクション作家にありがちな、取材時のハプニング等を面白おかしく描写する(そしてそのほとんどが読んでいて鼻白む内容)箇所も無く、
至って誠実に記した文章は好感が持てる。第37回講談社ノンフィクション賞受賞作で
あるのも頷ける。
読んでいて思ったのは、チェルノブイリでの原発事故の際でも、当時のソ連当局は、
被爆地の家畜を安全な場所へ避難させたにも拘らず、日本では「安楽死」以外の
対応を考慮せず多くの牛や豚、鳥などが死に追いやられた実態に憤りを禁じ得なかった
ことである。汚染区域内における家畜類の殺処分が、日本政府主導で粛々と進められる中、それに抗って、放射能被爆をした牛たちを生かし続ける選択をした飼育員の苦闘は、読んでいて本当に頭が下がる思いがした。
放っておけば草地が荒れ放題になる水田地帯に、牛を放牧することで、適度に草を
食べて大地が守られるという営みを信じて実行に移した人たちには敬服以外の言葉が
見当たりません。




「近藤先生、『がんは放置』で本当にいいんですか?」
版元:光文社(光文社新書)
著:近藤誠
ISBN:978-4-334-03815-1
定価(本体)¥740+税
【コメント】身内で別の病気の手術前検査をしていた段階で「癌の疑いあり」という所見を受けたのを機に、「がん」について考えてみようと手に取った本である。
近藤氏のガン放置理論に対しては、医学界から種々雑多な批判が絶えないわけだが、
未だに日本人の死因のトップは「がん」であるし、現代医学をもってしても完治し得ない
病気であるゆえに、近藤氏の言い分にも一理あるのではないかというのが、この本を読んでの感想である。




「原爆の落ちた日(決定版)」
版元:PHP研究所(PHP文庫)
著:半藤一利・湯川豊
ISBN:978-4-569-76369-9
定価(本体)¥1,000+税
【コメント】総ページ数670という大部な書。この書籍は、第2次大戦期における、米・日・独の核兵器開発競争から刻々と窮地に追いつめられる日本の状況、そして広島と長崎に原爆が投下された日までを膨大な資料と取材によって克明に記した戦争ノンフィク
ション。半藤氏特有の「歴史の後知恵」感満載の説教くさい表現が随所にあり、その点はやや閉口するが、原爆の悲惨さと戦争の本質を根源的に問うていく筆致には確かなものがあり、資料的価値は極めて高いと思う。


(了)